2013年12月27日金曜日

私のジオグラフィティ(My geographic method)


山並み F3 油彩 2013


現在制作中のタブローのコメントです。

 日常生活のシンボルである椅子が制作のモチーフであるが、椅子によるパフォーマンスを利用した作画だけでなく、椅子自身が生み出し、椅子に纏いつくようにして成長し、その周囲の空間をつくっていくイメージで作画していた。

 「椅子に纏いつくもの」それは、大概人体(主として女性の)である。


ゴラン



くねる


 椅子に纏いつく人体は、描いて行くうちに、私の住む標高700mの天空がひらけた空間に並び立つ山々の形と同化して描かれるタブローとなった。


冠雪した山が浅間山


人体が風景になり、逆に風景が人体になる、という柔らかな関係が自由に描けるのが楽しい。


白い流れ


2013年12月27日 
島州一


2013年4月13日土曜日

DRUM PAINTING

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PDP82PDP84PDP63PDP35PDP43


PDP 1983-1988, a set on Flickr.
⬆画像をクリックすると、flickr から観ることができます。



Print of Drum Painting17
紙にシルクスクリーン、ラバーインク
帰国後、日本で制作した"Drum Painting" の版画



 1980年、文化庁海外派遣研修員としてパリとニューヨークを中心に研修を積んだ一年 だった。従来の表現行為を如何にして2次元作品に転換できるかという問題を追求した毎日であった。


 油性の粘土を指で板に塗り付け、その上に和紙を被せてコンテでフロータージュし、余白は指でちぎって除去することで自分の行為が平面のオブジェとなることを発見し、それを多量に使って壁や床にインスタレーションした。


Finger Print  1982


  しかし、それでは本当の意味で平面作品になったとは承知せず、その翌年改めてフィラデルフィアやニューヨークにて制作を始めたのが ”Drum Painting” だった。



 その技法は、丸い円筒に紙やカンヴァス、フィルムを巻き付けてその上に絵具が付いた筆でけさ掛けに斬りつけるように叩き付けて描いた後に、巻き付けてあった平面の素材を円柱から取り外して、平らに拡げたときに出来た痕跡がドラムペインティング "Drum Painting" と名付けた作品となって生まれた。


 そのコンセプトは、単に平らな面に描きつけるよりも円という立体に描き付けるとタッチのスピードが倍加され、よりスピーディなダイナミックなタッチになると考えたからである。 



 以上の技法は1970年代の写真製版を使った立体作品や表現行為(イヴェント)から如何に平面絵画にその体験を生かして行くかという自分にとって革命的な第一歩が、正に "Drum Painting" なのである。
2013年 島州一

DRUMとは丸筒に描き付ける時のドラムのような音からの命名。


PDPのパブリックコレクション
1984  二戸郡安代町役場庁舎(岩手県)
1986  東京医科大学病院(東京、新宿)
1987  徳島県立近代美術館
1988  NTT企業通信システム事業本部(霞ヶ関)
1989  ニッセイ総合研修所(浦安市) 

1991  青梅市立美術館 
1992  ㈱岡村製作所(東京)
2012  茨城県近代美術館




2013年3月11日月曜日

椅子とそれに纏いつくもの


山頂


 ドラマは演じる舞台があって存在する。


 コトとモノの関係も、存在を認められた椅子があってこそ行われるであろう。出来事との絡み合いも、椅子を見た時の空想が現実の演技となってすでに現出している。

 時には椅子が演技者であり、それに関わるものが椅子の役をつとめる。

 椅子に絡むものは主として人間である。すでに椅子は人間がそれに座った形に出来上がっている。であるから全ての椅子に座る人の姿勢を想像することができる。




仰向く女


 椅子というものは、一応構築物で梁と柱から成り立っている。梁は水平で、柱は垂直から成り立っている。本来人体の腰掛けとしてつくられていて、背もたれや肘掛けも場合によっては付いている。やはり背もたれは垂直で、肘掛けは水平を志向している。そのような幾何学的、工学的な椅子に対していろいろな形となって関係するのが人間という有機体である。

 椅子は人間本来の尺度で出来ているが、その形から四ツ足の動物をも想像することが出来る。四本の脚は動物の脚とみることが出来るし、例えば背もたれは首から上を想定出来る。




安泰


 テーブルを中心にした親がいて、その周囲に子供である椅子が取り囲むといった想像図が描ける。

 不定形の空間の集まりである画面に椅子を一個投げ込むことで、混沌とした世界に秩序が与えられ、全ての形が整合性を持つと同時に画面の全てが確固たる色を持つようになる。




二つの椅子


 人間の形と尺度で世界を幾何学的にまとめながら、椅子は人間の生活尺度に合わせた無限の出来事を纏わせることの出来るモチーフと云える。


 椅子は人間を象徴する隠喩的な存在である。

2013年2月
島州一