LT 444 添景 2008, 2016 |
自動筆記的 なシステムで描く「言語の誕生」シリーズが持つ問題に気付いたのは2015年の終り頃だった。
繰り返し描き付ける画面が表現の積み重ねの中に見えることのできる空間は、風景の様相として出来上がる。実相の中にある現実空間と違い、心身の運動によって改めて出来上がる空間には、現実から抽象的な平面に変わるメタモルフォズが在るが、シンボル的な要素がどうしても欠落しがちである。
言語の誕生 362 添景 2005, 2015 |
その理由は次元の変換の際に起る厳密な意味の造形指向によりシンボル的な意味のある現実の形が描かれないため、いまひとつ描かれた画面の意味が読むことが出来にくいという問題が生ずる。
そこで年月を経た現在になって、自分の象徴としてのシンボルであるアイコンを既製の画面に描き込むことを始めた。それが 添景シリーズである。
言語の誕生 274 添景 2003, 2015 |
広辞苑によると、添景、点景は風景画などで趣を出すために画面に取り込まれた点在する人物、動物と解説されている。
私は自分のアイコンの中から選んだ人物(顔)や生活の中の身辺の物の象徴である椅子などを画面に描き込むことで、眠っていた画面の意味を読むことができるようになったと思う。
LT 653 添景 2010, 2016 |
LT 689 添景 2010, 2016 |
尚、私の描く顔には特定の人格はなく、一般の顔とされる顔のアイコンが描かれているので、その画面を見た時にそれを見た人自身になるようにと思って描いている。その顔を通して背景にある風景を認識することになる様に。
2016年6月16日
島州一
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